2019-01-01から1年間の記事一覧
イ・ドゥオン、文藝春秋。途中までは謎もたっぷりでよかったが、韓国好きの自分でも、ラストはあんまりではなかろうかと思いました。残酷なほう、残酷なほうに作りすぎて、ちょっと現実味が……。ナ・ホンジンやパク・チャヌクの線をめざしているのかもしれな…
平野啓一郎、文藝春秋。たいへんに頭のいい作家で、物語をめぐるすべてが過不足なく、説得力をもって描写されている。ウォッカを飲んで酔うときの「角度」など、比喩も巧みだし、ナルキッソスをめぐる『変身物語』も全体の筋ときちんと呼応していて、最初は…
ケン・リュウ、早川書房。うーむ、やはりアンソロジーも3つめとなると、少々質の低下が心配な気も。SFものに弱いせいかもしれませんが。とはいえ、「隠娘」は愉しいし、「生まれ変わり」、「ランニング・シューズ」、「ホモ・フローレシエンシス」などは印象…
クリストファー・ノーラン監督、マシュー・マコノヒー、アン・ハサウェイ、ジェシカ・チャステイン。最初の重力のメッセージ(?)が何のことやらわからなかったが、最後に解決。相対性理論そのものは理解できないが、それにもとづくストーリーということは…
ウォン・テヨン監督、クォン・サンウ、イ・ボヨン、イ・ボムス。クォン・サンウがどうしても向井理に見えてしまうのですが……。 主人公の男女が子供から大人になるまで家族のように同居しているというのが、そもそも無理筋の設定という気がする。さらに、結末…
なんといってもジュピターがすばらしい。第4楽章の無調っぽくなるところを偏愛しているので、あれをくり返してくれないと困るのだ(その点では、愛聴するクリップス+RCOの後期交響曲全集も不満)。ボールトはすべてのリピートに忠実。 全体的に堂々たる演奏…
C・J・ボックス、集英社文庫。正直申せば、前作にはがっかりした。とはいえ、長いシリーズにはそういうこともある。本作はネイトが主役級で、あいかわらずジョーの行動がはらはらさせる。前振りがすごいだけに、ネマチェクとの闘いはあっけらかんとしすぎ…
ナ・ホンジン監督、ハ・ジョンウ、キム・ユンソク、チョ・ソンハ。朝鮮族という人々を初めて知った。中国(旧満州)の延辺自治区という場所も。たいへん興味深い。内容のほうはあいかわらず鉈や鉞が大暴れだが、正直なところ、筋がはっきりわからない。2方向…
チョン・ユジョン、早川書房。新体験の「先の読めなさ」だった。悪の誕生を描きたかったのはわかるが、やや現実味に欠けるのでは? 家のなかなど、そんなに簡単に片づけられるものでしょうか。ある種のファンタジーと考えればいいのかもしれない。
イ・ジョンボム監督、ウォンビン、キム・セロン、タナーヨング・ウォンタクーン。「おじさん」というタイトルからは想像もつかない内容。悪役が麻薬と臓器売買の組織という過剰さも韓国ならではか。広くてやたらと清潔な部屋に椅子に縛られた男がいて、鉈と…
F・W・クロフツ。邦題は『フローテ公園の殺人』。南アフリカとスコットランドのそれぞれで刑事が活動するところや、アリバイ崩しなど、ミニ『樽』の様相。途中から犯人の見当はつくが、最後の部分は読めなかった。フレンチ警部登場前の佳作です。
ルー・バーニー、イースト・プレス。これはかなりできがいいコンゲーム。エルモア・レナードふうだけれど、個人的にはレナードより好み。人物造形がよく、プロットは先が読めず、たとえばパナマにいる大物が例のものを欲しがる理由など、細部の書きこみにも…
キム・ジウン監督、ソン・ガンホ、イ・ビョンホン、チョン・ウソン。他愛もないウェスタンふう活劇。取り柄は3人がはまり役だったことと、最後のしつこいぐらいの追跡シーン。しかしこのロケ地はどこでしょう。
スティーブン・ザイリアン監督、リズ・アーメッド、ジョン・タトゥーロ、ビル・キャンプ。これもHBOのたいへんよくできたドラマ。扇情的な事件だが、被写界深度の浅いカメラワークで物語は淡々と進む。場面の省略や切り取り方にも工夫が感じられた。ライカー…
アッティカ・ロック、早川書房。いかにもデニス・ルヘインが推しそうな作家、作風。前半なかなか進まないのがやや難か。血のつながりなどがわかりはじめてからは、どんどん読ませる。バイユー=ルイジアナ州というイメージでしたが、テキサスにもあるのです…
ジョーダン・ハーパー、早川書房。なるほど『メンタリスト』の脚本家ですか。絵になるシーンが多いのもうなずける。ギャングの事情にくわしすぎるシャーロットなど、気になる点はなきにしもあらずだけど、「敵から逃げる」という一点集中型のプロットは魅力…
ブライアン・シンガー監督、ラミ・マレック、ルーシー・ボーイントン、アレン・リーチ、アーロン・マカスカー。映画上の脚色ももちろんあるが、非常によくできた話。ラストのライブエイドはもちろん感動的だが、いちばん泣けたのは、フレディが、電話帳の何…
大島真寿美、角川書店。これは名作。とくに表題作と、最後の「遙か」が秀逸。キャラクターの出し入れがうまく、短篇連作はこうして書くのかと納得した。幼なじみを「私の初恋の人」と書いたきり(「かわいい娘」)、あとは好きのひと言も書かないのがハード…
C・J・チューダー、文藝春秋社。雰囲気はいいのですが。このラストは厳しい。少年たちは出てくるけれど、あまりキングに似ているとは思いませんでした。