映画

ベルファスト

ケネス・ブラナー監督、ジュード・ヒル、ジュディ・デンチ。紛争がそこここで起きている1969年のベルファスト、プロテスタント地区に住む家族の物語。子供たちが「カトリックの人って、毎週教会に行かなくても、ときどき懺悔するだけですべて赦されるからい…

地下道の鳩 ジョン・ル・カレ回想録

エロール・モリス、デイヴィッド・コーンウェル。ル・カレが亡くなったのは2020年末。この映画ではずいぶん元気そうだが、いつ撮ったのだろう。回想録や伝記に書かれていなかった新たな事実はほとんどないが、画像的にも美しく、良質なドキュメンタリー。

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス

ダン・クワン、ダニエル・シャイナート監督、ミシェル・ヨー、キー・ホイ・クァン。ちょっとわけがわからない。アカデミー賞ですか。うーん。

ミッドサマー

アリ・アスター監督、フローレンス・ピュー、ジャック・レイナー。友だちに誘われてスウェーデンのカルト教団の儀式にまぎれこんでしまった学生たちの悲劇。全編明るくて、ホラー映画とは思えないが、よく作りこまれています。監督は日本の姥捨山にヒントを…

別れる決心

パク・チャヌク監督、最初はなんのことやらさっぱりわからなかったが、途中からおもしろくなった。「愛している」と言っていないけれど、そう解釈できる台詞もよかったし、2回の殺人のハウダニットもよくできている。

泣く子はいねぇが

佐藤快磨監督、仲野太賀。脚本もいい、役者もいいのだが、こういうところにはまってしまう日本映画について考えてしまう。主人公が不憫で。もう少し明るいほうへ行ってほしかった。

ヒート

マイケル・マン監督、アル・パチーノ、ロバート・デ・ニーロ。『ヒート2』を読むまえにということで。市街の銃撃戦のシーンが有名だが、ロスの夜景がきれい。だから『ヒート2』の表紙も夜景なのかと。しかしデ・ニーロはどんな役をやっても絵になりますね。…

怪物

是枝裕和監督、安藤サクラ、永山瑛太、田中裕子。主人公の子供たちは5年生の設定よりもっと子供に見えたが。よくあんなにうまい具合に電車の廃車があったものだ(それともわざわざ設営?)。校長役の田中裕子が怖すぎる。ラスト、坂本龍一のAquaが沁みました…

KCIA 南山の部長たち

ウ・ミンホ監督、イ・ソンミン、イ・ビョンホン。実際の大統領暗殺事件にもとづいた映画。しかしこの暗殺が全斗煥大統領を生み、光州事件を起こしたわけである。

ジュラシック・ワールド 新たなる支配者

コリン・トレヴォロウ監督、クリス・プラット。出だしは前作とつながっているようで(未視聴)、どういう状況かちょっと戸惑う。恐竜たちは興味深いが、主人公たちがみんな生き残るんだろうなと思うと(いつもバクッとやられるが、ぎりぎりで食われない?)…

詩人の恋

キム・ヤンヒ監督、ヤン・イクチュン、チョン・ガラム。中年の詩人と不幸な家庭の若者のすれちがい。味わいはあるけれど(たとえば主人公とお母さんが岸壁に坐って話す場面)、ちょっと地味すぎるかもしれませんね。

工作

ユン・ジョンビン監督、ファン・ジョンミン、イ・ソンミン。名優ふたりの熱演に尽きる。国際市場で会いましょうの人でしたか。ミセンとキングダムもね。

ブラザー

チャン・ユジョン監督、マ・ドンソク、イ・ドンフィ、イ・ハニ。安東の名家の当主が亡くなり、息子ふたりが葬儀に帰ってきた話。葬儀の風習がよくわかって興味深い。

エクストリーム・ジョブ

イ・ビョンホン監督、リュ・スンリョン、キム・ソンファン、イ・ジョンスク。警察が捜査のために開いたチキン屋が大繁盛して……というコメディ。

新感染 ファイナル・エクスプレス

ヨン・サンホ監督、コン・ユ、キム・スアン、チョン・ユミ、マ・ドンソク。よくできている。病原菌の正体を説明しないところが潔い。ゾンビたちが吹っ飛ぶシーンなどにも感心。

海にかかる霧

シム・ソンボ監督、キム・ユンソク、パク・ユチョン。なんの前知識もなく見たら、予想外の展開だった。ポン・ジュノのプロデュースだというから、さもありなん。最初の麗水の漁村の描写はどこか懐かしい。途中からは怖いが、バトルロワイヤル化してからは、…

12モンキーズ

テリー・ギリアム監督、ブルース・ウィリス、マデリーン・ストウ、ブラッド・ピット。興味深い題材だが、ちょっと作りが錯綜しすぎているのでは。ドラマで長尺になったほうがわかりやすいかもしれない。ブルース・ウィリスのサービスショットも必要なのかど…

グランド・マスター

ウォン・カーウァイ監督、トニー・レオン、チャン・ツィイー。映像美がすばらしい。スローモーションが多すぎる気もするけれど、完璧な構図に完璧な動き。異次元だと思いました。

ロイヤル・コンセルトヘボウ オーケストラがやって来る

エディ・ホニグマン監督。2013年ワールドツアーのドキュメンタリー。すばらしい。長引く感染症拡大で、絆とか、力をもらうとか、軽々しく口にされている気がするけれど、音楽が生きる力になるというのは、本当はこういうことを言うのではないでしょうか。ア…

ザ・キング

ハン・ジェリム監督、チョ・インソン、チョン・ウソン。ロックな映画。日本でもこのようなことはあるのだろうなと思わされる。最後の選挙結果を示さないところが秀逸。

密偵

キム・ジウン監督、ソン・ガンホ、コン・ユ。最初は人間関係がわかりにくいけれど、ソン・ガンホが日帝のもとで働きながら独立運動に力を貸すようになってからは展開が早い。

ビリー・アイリッシュ:世界は少しぼやけている

R・J・カトラー監督のドキュメンタリー。歌がうまいといっても、オペラ歌手的な歌唱力ではなく、一人ひとりに語りかけるような歌唱が若者の心をとらえたのだろうか。ときおり驚くほど大人びた表情を見せるが、まだ18歳。この若さでこれだけの名声を得たこと…

メソッド

パン・ウンジン監督、パク・ソンウン、オ・スンフン、ユン・スンア。ところどころ美しい場面はあるけれど、最後の舞台とか、せっかく役者は熱演しているのだから、もう少し予算をかけて広いところでやればなあと思う。

ロケットマン

デクスター・フレッチャー監督、タロン・エジャートン。受ける印象が『ボヘミアン・ラプソディ』とどうしてこうもちがうのだろうと思う。曲をあまり知らないから? 主人公が死なないから? エジャートンがたくましすぎるから? 私の嫌いなクスリをやっている…

パラサイト 半地下の家族

ポン・ジュノ監督、ソン・ガンホ、イ・ソンギュン、チョ・ヨジョン、チェ・ウシク。非常によくできている。随所に笑いが仕込まれているのもいい。元お手伝いが戻ってきてからの意外性や、ラストのひねりにも好感。まあ、こんな破壊的な展開にする必要があっ…

天気の子

新海誠監督。メインのテーマは『君の名は。』と同様、純愛だと思う。ただ、ストーリーはこちらのほうがシンプルで、それをどう見るかで評価が分かれそう。映像はたしかに美しいが、背景が実写かと思うほど細かいのに対し、人間の表情などがアニメ的すぎない…

わたしは、ダニエル・ブレイク

ケン・ローチ監督、デイヴ・ジョーンズ、ヘイリー・スクワイアーズ。シンプルな話だが、最後まで飽きずに見せられるのが監督の手腕か。

劇場版ダウントン・アビー

マイケル・エングラー監督、ヒュー・ボネヴィル、エリザベス・マクガヴァーン、マギー・スミス。あれこれあってもきれいに落ち着くピース・アンド・ハーモニーの世界。いいですね。

万引き家族

是枝監督の探究する「家族」のひとつの極限だと思うけれど、これは1本の枝の先であり、太い幹はもっと別のところにあってほしいと勝手に願う。惹かれる台詞や役者の表情は多々あるが、ちょっと悲しすぎて観るのがつらかった。 万引き家族にしろ、パラサイト…

タクシー運転手

チャン・フン監督。ソン・ガンホ、トマス・クレッチマン。いくらか実話にもとづいているという。傑作。ソン・ガンホは本当にすばらしい役者だ。香港映画が隆盛を極めたころのチョウ・ユンファを思い出す。ハン・ガン『少年が来る』に続き、光州事件が自分に…