2010-10-01から1ヶ月間の記事一覧

ジークフリート

ティーレマン、バイロイト祝祭管弦楽団、2008年のライブ。ヴォータン(さすらい人)、やっと少し調子が出てきましたか。第1幕第2場なんて、こんなに豊かで面白い音楽だったっけと思うほど。もちろん第3幕も充実。しかし思えば、開始後2時間以上、男声し…

ワルキューレ

ティーレマン、バイロイト祝祭管弦楽団、2008年のライブ。第1幕第3場、ジークムントとジークリンデの愛の場面のすばらしさ。第3幕第3場のブリュンヒルデもなかなか。ただ、ラインの黄金でも感じたけれど、ヴォータンは少々弱いか。それにしても、このテ…

ラインの黄金

ティーレマン、バイロイト祝祭管弦楽団、2008年のライブ。ティーレマンの美点は「活きのよさ」にあると思う。たとえば、第4場の躍動感。

ジンマンのマーラー第9番

最初聴いたときには、こりゃあかんと思ったけれど、なぜか二回目に聴くと心地よく、これはこれでありかと。とくに第1楽章など、主情的演奏の対極。地獄に堕ちるときにはもっとドスーンと堕ちてほしい気持ちはやはりあるが。

黒竜江から来た警部

サイモン・ルイス、RHブックス+プラス。英語ができない中国の警官がイギリスでくり広げるドタバタ、といった先入観を持っていたが、意外にもダークでまっとうな筋立て。視点の切り替えもうまい。唯一惜しむらくは、主人公の警官のキャラクターが見えてこ…

サラサーテの盤

内田百、ちくま文庫。随筆の名手と言われているが、随筆のほうは正直なところ、ぴんと来なかった。しかし小説はすごい。冒頭の屋根瓦を小石が落ちてくるところといい、青空を背景として坂の上に母子が現れるところといい、聴覚、視覚のイメージ喚起力が抜群…

五番目の女

ヘニング・マンケル、創元推理文庫。ヴァランダーを始めとする警官たちの共同作業が、読んでいて心地よい。前作よりいい出来。

ツーリスト

オレン・スタインハウアー、早川書房。これは傑作。さまざまな謎が一点に収束していく快感。いつ終わるとも知れぬ逃亡のサスペンス。主人公ミロの妻子や、国土安全保障省のシモンズのうまい使い方。すばらしい。