2017-03-01から1ヶ月間の記事一覧

聖の青春

大崎善生、講談社文庫。29歳で亡くなった天才棋士、村山聖のドキュメンタリー。これほど懸命に、純粋に生きた人間をまえにして、ことばはない。この大崎さんといい、先崎学さんといい、将棋界には文章がうまい人が多いのか。

流砂

ヘニング・マンケル、東京創元社。スウェーデンを代表するミステリー作家が、がんを宣告されてからの思索の断片のようなもの。かならずしも死を意識したからではなかろうが、考える時間の単位が、次に氷河期が訪れるまでといったふうに何十万年とか何百万年…

パーソン・オブ・インタレスト シーズン2

「マシン」がコミュニケーション可能な超万能AIであることが明らかになる第1エピソードから、うまい。その超頭脳が変調を来しているかもしれないというエピソード17。「スーツの男」を追うFBI、命を救われたあと何者かに操られていた元CIA女工作員、IT企業CE…

もうちがう。本当に残念。↓戦後の日本はすごかつたと、一時、世界中が褒めそやしたけれど、近頃は、不景気と地震と原発事故のせいで評判が落ちた。本当はそれほどひどいわけぢやないと思ひますよ。たとへば言論の自由が保證されてゐる点で、東アジアでは随一…

心臓を貫かれて

マイケル・ギルモア、文藝春秋。『グレート・ギャツビー』と並ぶ村上訳の金字塔。村上訳であることを初めて意識せずに最後まで読めた。これが彼のその後の創作に影響を与えたことは疑いない。

「いわば、私は総理大臣なのでありまして、私が総理大臣である中に於いて、その中に於いてですね、私が総理大臣であることは、事実、であると同時に、大切なことは、この、私が総理大臣であることであって、これは、まさに、私は間違いなく、総理大臣なんだ…

海辺のカフカ

村上春樹、新潮社。キャラクターの造型や個別のエピソードはやたらとおもしろいのだけれど、全体として見るとどうかなあというところ。