2009-11-01から1ヶ月間の記事一覧

モーツァルト交響曲第21〜41番

クリップス+コンセルトヘボウのいつまでも大事にしたい演奏集。落ち着いたテンポと、オケの得も言われぬふくよかな響き。あえて注文をつけるとすれば、ジュピターの最終楽章でC-D-F-Eをちょっと無調ふうに展開していってCセブンスで解決するところが死ぬほ…

フロム・ヘル

アラン・ムーア、エディ・キャンベル、みすず書房。とくに印象に残ったのは、丘の上に立ち現れる異教の神の姿と、ガル博士がネトリーを導くロンドン「巡礼」の旅。それにしても、この調査力と想像力には驚嘆する。

1Q84

村上春樹、新潮社。その場のリアルな空気を作り出す力が突出している(おもに比喩のうまさによる)とか、温室に依頼人がいるパターンはチャンドラーだとか、物語の構造はそう目新しくもないとか、いろいろ考えながら読んでいたが、BOOK2で青豆が宗教団体の「…

犬の力

ドン・ウィンズロウ、角川文庫。代表作と言われるニール・ケアリーのシリーズは、ワイズクラックがワイズすぎて、正直なところ好きではなかったが、この大作は文句なしにすばらしい。敵の子供を谷底に投げ落とすところに、麻薬王アダンよりむしろ作者ウィン…