2011-12-01から1ヶ月間の記事一覧

ローラ・フェイとの最後の会話

トマス・クック、早川書房。主人公ふたりが酒を飲みながら話すというシンプルな作りで、なだらかに続いていく物語が心地よい。『大いなる遺産』のいちばん好きな個所が引用されていたのにも驚いた。裕福になったピップをジョーが訪ねるあの場面は有名なんで…

斜陽

太宰治、新潮文庫。急遽、読むものが必要になったので、自宅の本棚から。でもこれがたいへん面白かった。太宰はなんかひねくれて、うじうじしているという印象だったのだが、随所の決め台詞がすごいし、文章にたたみかけるようなリズムがある。この歳で太宰…

チェリビダッケのブルックナー

そしてブルックナー。どれもすごいね。 ・第4番第1楽章再現部の静かな美しさ。 ・第5番第1楽章や、第7番第1楽章の大きさ。 ・第8番、巨大すぎ。第2楽章の喜び。第3楽章でふっと力を抜く技。 ・第9番、これまで聴いた9番のなかでいちばん遅かった。

チェリビダッケのベートーヴェン他

チェリビダッケ+ミュンヘン・フィルをきちんと聴いたのは初めて。 とくに印象に残ったのは、『運命』終楽章の大きさや、ブラームス交響曲第1番第2楽章の美しさ。ブラームス第2番は全体的にすばらしい。この大きさでいくと、ブルックナーはいったいどうなる…

大いなる遺産

ディケンズ、河出文庫。古今東西、キャラクター造型でディケンズに敵う人はいないと思う。ほかの作家が不器用にエピソードを重ねて説明する人物の内面を、ディケンズは、ちょっとした仕種やなにげない会話を使って1、2行で見事に描き出す。とはいえ、得手…