2019-07-01から1ヶ月間の記事一覧

すべての、白いものたちの

ハン・ガン、河出書房新社。生まれてすぐに亡くなった姉への思いを、白いものに託して詩的に綴った小説ともエッセイとも言えそうな作品。白いページの紙質に何種類かあることからもわかるように、本の作りもたいへん丁寧。

イタリアン・シューズ

ヘニング・マンケル、東京創元社。新刊が出るとかならず読む作家だけれど、ヴァランダー・シリーズではない単独作品のこれは、うーむ、という感じでした。なぜこんなに「死」のことばかり書いているのか。作者が自分の癌を知るのはもっとずっと先なのに。そ…

Skrowaczewski the complete oehmsclassics recordings

全体的に、深い読みに支えられた潑剌たる演奏。なかでもブラームスの2番、3番がくっきりとした造形で見事。ベートーヴェンの5番にも感心した。エロイカ第1楽章の超特急にはびっくり。また、とりわけ印象に残ったのが、ブルックナー9番のアダージョ。ものすご…

ディオゲネス変奏曲

陳浩基、早川書房。思い浮かべたのは星新一。自分の読書は圧倒的にアイデアより人物なのだが、これだけアイデアを並べられると文句のつけようがない。「藍を見つめる藍」ではっとさせられ、「時は金なり」、「作家デビュー殺人事件」、「いとしのエリー」な…