2017-12-01から1ヶ月間の記事一覧

チャンドラー完訳について(村上春樹/朝日新聞)

「たいそうな言い方になるかもしれないけど、生きた文章を書くには潜在意識で洗い直す作業が必要なんです。ある程度の時間をおいて無意識のなかを何度も通さないと、文章が立ち上がってこない、本当に」 「文章の力は、評価するのがすごく難しい。家族風呂と…

冷酷な丘

C・J・ボックス、講談社文庫。大好きなシリーズで、いつものようにまったく悪くはないのだけれど、結末がちょっと気に入らない。家族にこういう人物を作ってしまっていいのだろうか。それにラストシーンは、あまりにも「待て次号!」になっているような。 …

英国諜報員アシェンデン

サマセット・モーム、新潮文庫。おもしろい。「ヘアレス・メキシカン」も「ジュリア・ラツァーリ」もいいけれど、「裏切り者」の章がいちばんよかった。嫌な感じの男爵夫人を次のように描写するところなど、意地悪な視線がたいへん独創的。 人をはっとさせる…