英国諜報員アシェンデン

サマセット・モーム新潮文庫。おもしろい。「ヘアレス・メキシカン」も「ジュリア・ラツァーリ」もいいけれど、「裏切り者」の章がいちばんよかった。嫌な感じの男爵夫人を次のように描写するところなど、意地悪な視線がたいへん独創的。

人をはっとさせるきつい感じの美しさがある。目のさめるような金髪は派手で美しいが、魅力的ではない。最初に会ったとき、アシェンデンは、こんな色の髪の毛がスープに浮いていたらいやだなと思ったくらいだ。

あるいは、

男爵夫人は英国(のヨークシャーの厩番)の血を継いでいるし、