2023-11-01から1ヶ月間の記事一覧
書斎の死体も牧師館もそうだったが、このマープルは警察に煙たがられても平気そうだったり、あいかわらず気丈。犯人捜しは、家族の遺産争いと見せかけて……というのが定番の裏をかいたかたちでしょうか。
小さな村で起きる殺人事件。時計のトリックと『ナイルに死す』を思わせる犯人像。ミス・マープル初登場。
ピーター・スワンソン、東京創元社。たしかにおもしろいが、ほとんど登場と同時に犯人がわかってしまった。また、冒頭のネタバレ警告で、「私」がブログで取り上げた8つの作品以外にアクロイドが入っていることからも、その後の展開が読めてしまう。これを…
高瀬隼子、講談社。ふつうにおもしろいけれど、芥川賞というのが驚きです。芦川さんのような人、どんな組織にもいると思う。
マクイーワン版のマープルはなんだか活動的&強気。犯人が原作とちがうのは、原作をすでに読んでいる人向けのサービスかもしれないけれど、わざわざ⚪︎⚪︎愛を持ち出す必要があったのか。アリバイづくりのためのすり替えや、遺体が計画外のところへ移動という…
キム・ボヨン、河出書房新社。宇宙船でAIがなぜか人間の体に移って、土星の惑星に住む人々の救助に向かう表題作がすばらしい。一人称のノワールで主人公が死んでしまう問題(語り手がいなくなる)はつねにあるが、AIならデータをバックアップすれば意識は残…
ジョセフ・ノックス、新潮社。リーダビリティはとても高く、犯人も意外で、メタフィクション的な作りもおもしろいのだが、いまいち乗れなかった。つくづく自分は麻薬常用者が好きではないのだと再認識した次第。というより、もしかすると『ポピーのためにで…
ジョルジュ・シムノン、早川書房。シムノンは『黄色い犬』ぐらいしか読んだことがなかった。それもたぶん小学生のころだから、よさがわかるわけがありません。これはすばらしい。謎も魅力的だし、ラ・ボエーム的な若さの苦味もある。幕切れもよく、全体的に…
原作は文句なしの傑作。ドラマはミス・マープルを登場させる以外の点ではわりと原作をなぞっているが、一人称のナレーションが入った時点でネタバレになっている気もします。