2016-01-01から1ヶ月間の記事一覧

高貴なる殺人

ジョン・ル・カレ、早川書房。スマイリー=凡庸という描かれ方が気の毒なほど。 光線に照らし出されたそのまる顔に、真剣な表情がうかんでいるところは、むしろこっけいなものと感じられた。かれの真価を知らずに、風貌だけを見ている人たちは、どのような印…

イギリス文学入門

石塚久郎、三修社。 流動化する社会のなかで、挫折や危機を経て内面的な成長を遂げる主人公を描く「教養小説(ビルドゥングスロマン)」は、ヴィクトリア時代の小説におけるもっとも重要な形式の一つである。ディケンズの『デイヴィッド・コパフィールド』を…

深い森の灯台

マイクル・コリータ、創元推理文庫。なるほどそう来ましたか。後半の展開には満足。惜しむらくは、最初のつかみが少々弱い(気がする)。コリータって、最近こういう路線で書いてるんですね。

House of Cards シーズン2

1章から度肝を抜く展開。最終章もある人物が殺されて不穏なまま。ルール違反と言いたくなるぎりぎりのところで見る者を惹きつける。役者たちの演技もさることながら、脚本の勝利か。次のシーズンも見ずにはいられません。

死者にかかってきた電話

ジョン・ル・カレ、ハヤカワ文庫。二転三転するよく練られたプロットは、すでにハイレベル。唯一、最後にスマイリーの報告書のかたちで真相を解説するのは、小説作法としてどうかと思わないでもないけれど、デビュー作ですからね。作者の思想のエッセンスも…