2015-09-01から1ヶ月間の記事一覧

スクープ

イーヴリン・ウォー、白水社。全体にわたっていまひとつ作家の意図が汲み取れず、残念ながらあまり愉しめなかった。人ちがいでアフリカに送られたライターがスクープをものにするという大枠はいいとして、細かいギャグと思われるものがはたしてギャグなのか…

E・M・フォースターの姿勢、他

E・M・フォースターの姿勢(小野寺健)みすず書房 示唆多く、要再読。E・M・フォースター(ライオネル・トリリング)みすず書房 フォースターの小説はもっと読まれて当然なのに、そうならない原因は彼の作風にあり、そしてその作風とは、喜劇的作風である。…

ジョヴァンニの部屋

ジェームズ・ボールドウィン、白水ブックス。アーヴィング『ひとりの体で』でも言及されるゲイ小説の古典。前半はどうかなと思ったけれど、主人公がジョヴァンニと別れるところからの書きっぷりは見事。1956年の作品ながら、今日でも充分通用する。ただいか…

マーラー交響曲第9番

バーンスタイン、ベルリン・フィル。大昔、バーンスタイン+アムステルダム・コンセルトヘボウでこの曲にノックアウトされた身としては、聴いておくしかない。が……気持ちばかりがはやって、ベルリン・フィルでさえ音が追いついていない印象。改めてコンセル…

E・M・フォースター研究

阿部幸子、ニューカレントインターナショナル。 文明世界で見失われてゆく人間性の回復――E・M・フォースター(1879-1970)の作品のテーマはここに始まり、ここに終る。物質文明の支配に歯止めの必要を痛感した多くの作家達の先頭に、フォースターはD・H・ロ…

トルコ捨駒スパイ事件

ボリス・アクーニン、岩波書店。悪くはないのだけれど、テーマが露土戦争で、舞台がほとんど戦地というのはちょっと。