2023-10-01から1ヶ月間の記事一覧

グリーンショウ氏の阿房宮

『クリスマス・プディングの冒険』のなかの短篇が原作らしい。矢が頸動脈に刺さるとか、お得意の犯人のパターンとか、これまたお得意の出生の秘密とか、長篇向きの内容だと思いますけど。ドラマ向きにエピソードをふくらましたのかな。アルフレッド役のMartin…

同調者

モラヴィア、光文社。映画『暗殺の森』の原作の新訳。クアードリとリーナの死体の描写(p. 487〜)がすごい。 二人の遺体が丸二日も森のなかに放置されていたことを思い、太陽が、何時間ものあいだ二人を温め、にぎやかな羽音を立てる虫たちの生命をその体の…

カリブ海の秘密

また単独作品にミス・マープルを登場させたのかと思ったら、オリジナルのマープルものでした。完全な安楽椅子探偵というわけでもないのね。

死の10パーセント

フレドリック・ブラウン、東京創元社。どれも達者な短篇集。「殺意のジャズソング」なんかにしても、最後のひとひねりはなかなか思いつきませんよね。積読の『シカゴ・ブルース』も読まなければ。

陽炎の市

ドン・ウィンズロウ、ハーパーコリンズ。前半はマフィア要素が足りないかと思ったが、ハリウッドがからんできてから俄然おもしろくなった。『業火の市』のマフィア様式美と甲乙つけがたい。

怪物

狭い地域で起きる事件にできるだけツイストを盛りこもうとして、あまりに現実離れしてしまうよろしくないパターンでは。

ヒート2

マイケル・マン、メグ・ガーディナー、ハーパーコリンズ。映画を要約したプロローグの部分から傑作であることを確信。警報装置の解除で電柱にのぼっていると、ループの電車のにおいがする(でしたっけ?)とか、本筋とは関係のない細部も本当によくできてい…

鏡は横にひび割れて

この動機だけは忘れられない一作。それがわかっていると、ほかの要素はちょっと物足りない気も。