2015-07-01から1ヶ月間の記事一覧

それはどっちだったか

マーク・トウェイン、彩流社。オペラ・ブッファ的な軽い犯罪小説かと思いきや、最後の主従逆転に度肝を抜かれた。こんなにブラックな作家だったのかトウェイン、畏るべし。解説が非常に丁寧で、いちいち腑に落ちたけれども、本文からはとてもここまでは読み…

週刊ポストとFRIDAY

本日発売の週刊ポスト、新聞広告によると、メインの記事は東芝の「骨肉の人事抗争」で、次が「中国バブル大崩壊」。どこを見ても、今週最大の話題だったはずの安保法制の「あ」の字もない。同じくFRIDAYは、メインが新国立競技場で、次が大越健介氏の新潟県…

歩道橋の魔術師

呉明益、白水社。台北にかつてあった「中華商場」というショッピングモールと、そこに暮らす人々を描いた短篇集。棟と棟を結ぶ歩道橋にいた魔術師が各篇のライトモチーフなのだが、正直なところ、魔術師に毎回こだわる必然性が感じられなかった。『カステラ…

羊たちの沈黙

トマス・ハリス、新潮文庫。言わずと知れた、20世紀を代表するサイコものの金字塔。レクターというキャラクターを生み出した発想の勝利。ただ、高見さんが指摘しておられるとおり、犯人そのものの造型はやや凡庸か。ミステリーとしては、関連のなさそうな死…