歩道橋の魔術師

呉明益、白水社台北にかつてあった「中華商場」というショッピングモールと、そこに暮らす人々を描いた短篇集。棟と棟を結ぶ歩道橋にいた魔術師が各篇のライトモチーフなのだが、正直なところ、魔術師に毎回こだわる必然性が感じられなかった。『カステラ』ふうではあるが、よりしっとりしていて(=情緒的)、『カステラ』ほど吹っ切れていない。