2015-08-01から1ヶ月間の記事一覧

白の迷路

ジェイムズ・トンプソン、集英社文庫。警官なのに犯罪者集団。麻薬ビジネス壊滅のために、上司の命令で部下と法の境界を越えることになったのだ。麻薬組織から奪った金を分け合う様子はまるで強盗団か海賊のそれ。しかも主人公のカリは脳腫瘍の手術で感情を…

堕天使(アザゼル)殺人事件

ボリス・アクーニン、岩波書店。ドストエフスキーと同時代のモスクワ(レニングラードではないけれど)が舞台というだけで盛り上がるのだが、それがなくともなかなか軽快なテンポでたたみかける愉しい一冊。

ハンニバル

トマス・ハリス、新潮文庫。これでレクター・サーガの復習もひとまずおしまい。『ハンニバル』自体は、レクターのあまりの大きさに作者が引きずられてこうなったのかという感じ。読者にとってレクターより悪辣で憎たらしいヴァージャー(小児性愛者)を生み…

火葬人

ラジスラフ・フクス、松嶺社。この得体の知れない主人公。不気味なのに、惹きつけられる。ナチスに洗脳される葛藤すら表に出さず、当たりまえのように家族を殺す男。「……法律は、人びとを助けるためにある……」のことばの虚しさ。しかし最後はどういうことな…