2011-08-01から1ヶ月間の記事一覧

犯罪

フェルディナント・フォン・シーラッハ、東京創元社。世評は抜群だが、あまりピンと来なかった。いくらかピンと来たのは、緑、棘、エチオピアの男。それでも、小説を読んだあ、という喜びがあまりない。そもそもこの本にそういうものを期待するのは、的はず…

夜想曲集

カズオ・イシグロ、ハヤカワepi文庫。「老歌手」最後はどうなるのだろうという興味で読ませるし、語りも丁寧、ベネチアの雰囲気もいい。でも後味がよくない。「わたしを離さないで」でも感じたけれど、なんとも言えない「苦味」がある。この歌手は本当にカム…

フレンチ警視最初の事件

F・W・クロフツ、創元推理文庫。女性主人公がのっけから悪事にどんどん巻きこまれていく展開が、倒叙風味で新鮮。クロフツって、元鉄道技師だけあって、頭が理系なんですよね。そこが好きです。

死者の奢り・飼育

大江健三郎、新潮文庫。大学時代、医学部で屍体処理のバイトがあるという噂があって、いまでいう都市伝説のようなものかと思っていたが、この小説が出所だったんですね。同郷のノーベル賞作家となれば、もっと早くに読んでいてもおかしくないのだけれど、新…