どれほど似ているか

キム・ボヨン、河出書房新社。宇宙船でAIがなぜか人間の体に移って、土星の惑星に住む人々の救助に向かう表題作がすばらしい。一人称のノワールで主人公が死んでしまう問題(語り手がいなくなる)はつねにあるが、AIならデータをバックアップすれば意識は残るので、解決ですね。「ママには超能力がある」の人と人は近接することで原子を交換し合っているというイメージもおもしろい。ただ「稲妻」や「隕石」が出てくるヒーローものはちょっと……。