プレイバック

レイモンド・チャンドラー早川書房。ロバート・B・パーカーはこのマーロウをめざしていたのではないかという気がする。
p. 10 「朝早くから、よくそんなちゃらいことが言えるわね」
p. 24 「そいつはいいね、ヴァーミリア。私の潜在意識はぐっとかき立てられたよ。機会を見つけて連絡を入れよう」
p. 45 私はあまり好意を抱けない人々のために、安っぽくこそこそした覗き仕事をしてきた。でもそれがなんといっても私の生業なのだ。彼らが金を支払い、私が地面を掘る。しかし今回、私はそれをけっこう楽しむことができた。彼女は身持ちの悪い女にも見えなかったし、悪党にも見えなかった。それが意味するのは、身持ちのよくない悪女に見えるよりは見えない方が、より有利に立ちまわれるというだけのことに過ぎないのだが。
p. 47 「やれやれ」と彼女は耐えかねたように言った。
p. 49 「じゃあ、いったい何があなたの興味を惹いたのかしら? あなたはただの心優しい、罪のない大男さんなのかしら」
p. 90 こんこんという音が私を目覚めさせた。軽いノックではあったが、執拗だった。そのノックはずいぶん長く続いていたのだろう。そういう感覚があった。それはとてもゆっくりと私の眠りの中に入り込んできたようだった。
p. 96 彼女はハードボイルドな冷笑を顔に浮かべ、私がそれに馴染むために長い時間を与えてくれた。
p. 231 「よしてくれ。君はもう持ちきれないほどの金を私にくれている。私が求めているのは金なんかじゃない。自分がいったい何をしているのか、なぜそんなことをしなくちゃならないのか、それが知りたいだけだ。君は職業的倫理という言葉を耳にしたことがあるだろう。そういうものの切れ端がまだ私の身体にまとわりついているんだ。君は私の依頼主なんだろう?」