シフのベートーヴェン(続き)

山下洋輔の本(タイトル失念)を読んだせいで、ベートーヴェンピアノ曲は聴くより弾くほうが愉しいという印象が強かった(たとえば「悲愴」)のだが、シフの演奏はどれも傾聴に値する。この「月光」の第3楽章など緩急自在でじつにスリリング、かつ演奏する喜びも伝わってくる。第1楽章のペダリングは、作曲者の意図を汲み、現代のピアノでそれを実現しようとする試みのようだが、これまた説得力がある。