ティーレマンのベートーヴェン

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ドイツ人の演奏するドイツ音楽がいつも最高というわけではない。が、昨日の演奏はかぎりなくそれに近かった。サントリーホール全体が鳴り響く感じ。あるいは、あの空間まるごと突き進んでいく感じ。

1曲目のタンホイザー序曲からもう音楽がちがう。あのままずっと全曲聴きたかった。レーピンはブラームスにしては艶っぽすぎるかとも思ったけれど、カデンツァ以降は文句なし。ふっと訪れる休符などオケとの呼吸もぴったりだった。

圧巻はベートーヴェン。飛ばす飛ばす。しかし聴かせどころではたっぷり聴かせるのがティーレマン。たとえば第2楽章や3楽章。なだれこんだ終楽章は7番を思わせる躍動感。重厚な弦に明るい管。ホルンもフルートもがんばった。あれだけ鳴れば細かいことなどどうでもいいです。

アンコールのマイスタージンガーは、何かたとえようもなくうれしくなって、半泣きでした。