ギジェルモ・マルティネス、扶桑社。おもしろいんです。とくに終盤の犯人捜しはなかなかですが、前半の蘊蓄はなんとかならないものかと。ルイス・キャロルは日本でも有名とはいえ、ダ・ヴィンチぐらい知名度がないと蘊蓄ものはしんどいかもしれない。あと、発見された紙片の内容も、過去のキャロル研究をひっくり返すほどのものでしょうか(それを言ったらおしまいだけど)。
地下道の鳩 ジョン・ル・カレ回想録
エロール・モリス、デイヴィッド・コーンウェル。ル・カレが亡くなったのは2020年末。この映画ではずいぶん元気そうだが、いつ撮ったのだろう。回想録や伝記に書かれていなかった新たな事実はほとんどないが、画像的にも美しく、良質なドキュメンタリー。
パディントン発4時50分
書斎の死体も牧師館もそうだったが、このマープルは警察に煙たがられても平気そうだったり、あいかわらず気丈。犯人捜しは、家族の遺産争いと見せかけて……というのが定番の裏をかいたかたちでしょうか。