ニーベルングの指環


バレンシア州立歌劇場、ズビン・メータ。しょっぱなのラインの娘三人から演出がすごすぎて、ちょっと音楽どころではありません。が、さすがメータ、くどすぎず、淡泊すぎず、うまくまとめている。奇抜な演出の効果がよく出ていたのは『ラインの黄金』の最後の雷とか。『ワルキューレ』ではやはりジークムント・ジークリンデの二重唱、ヴォータンとブリュンヒルデの最後の場面が胸に来る。『ジークフリート』の第2幕などでは演出が生きている感じ。ひきかえ、第3幕のブリュンヒルデジークフリートの愛の場面などはもっとやりようがあったのでは(あえての地味路線?)。存在感があったのは『神々の黄昏』のハーゲン。ただ、ギービヒ家の演出はこれまたどうかと思いましたけど。