素晴らしきソリボ

パトリック・シャモワゾー、河出書房新社カリブ海マルティニークの作家で、クレオール語も駆使した物語。日本翻訳大賞受賞作。ひとりの「語り部」の死にまつわるドタバタ喜劇という趣(現地ならではの比喩が愉しい)だが、詩に近いところもあり(とくに最後の口上)、翻訳という行為そのものについても考えさせられる。日本でこれに匹敵するものが書けるのは、筒井康隆町田康ぐらいでしょう。日本翻訳大賞は、『カステラ』といい、翻訳の「自由さ」が感じられるものが重視されるように思う。いかに英日翻訳が窮屈になっているかということの裏返しかもしれない。