凍氷

ジェイムズ・トンプソン、集英社文庫。翻訳ミステリー大賞のサイトでヘレンハルメさんの記事を読んでから、北欧のなかでもずいぶん毛色のちがうフィンランドに興味がある。田舎者、酒飲み、マッチョ文化、でもドイツとソ連のはざまで、日本人には想像もつかないような苦労をしてきた国。本作もそんな雰囲気がたっぷりで、その点は満足だけれど、本筋そのものについては、主人公のカリがほとんど何もしないのに、まわりが勝手に動いて事件が解決しているような。カリの祖父の同僚だった祖国の英雄、アルヴィドの存在感はありましたね。あとこれは自分のいまの気分の問題だけれども、虐待とかはもうけっこうです。