鋭い洞察

本日の朝日新聞朝刊、イラストレーターの山藤章二さんの寄稿「奥深きこころの世界」(漱石の『こころ』について論じたもの)になるほどと膝を打ったので、いけないのかもしれないけれど、ここに一部コピーしておく。

「エンターテインメントの要諦(つぼ)は非日常感である」
 これは文芸であれ演劇であれ、あらゆるツクリモノ分野に通用する万古不易の定理である。日常が退屈な〈凪〉であれば、ツクリモノに〈乱〉を求めるのは人情の常。したがってこの定理は一応正しい。(中略)
 もはや日常は“凪”状態ではない。日常が“乱”の状態に入ってしまったのである。只事ではないが現実だ。
 さればこういう時代に人々〈ふつうの感受性をもつおとな〉が求める創作物(エンターテインメントと同意)とは、平穏、思索、瞑想といった言葉で括れる哲学的気分なのである。サービス過剰の騒がしいエンターテインメントではなく、ひとり静かに自分の内部で反芻できる世界なのである。
「エンターテインメントの最高のものは自問自答である」

私、本当に最近のエンターテインメントに魅力を感じなくなっていたのです。本で言えば、いわゆるジェットコースター小説とか、一気読みなどと賞されるものなどに。