水滸伝(十二)

北方謙三集英社文庫。官軍側に囚われた廬俊義と、それを救い出す燕青は、男色をも超えた結びつき。
青蓮寺の李富のことば。「梁山泊もそうだな。全員の心がひとつなどということはあるまい。理想で動いている者もいれば、恨みで動いている者もいる。流れに逆らえないだけだ、という者もいるだろう」
晁蓋を暗殺した史文恭は、指一本噛みちぎられたことを隠すために、みずから片腕を切り落とした。この老人はけっこうノワール

 梁山泊は、闇の塩を糧道にして、宋を乱している。ならば、こちらも闇を使う。城郭(まち)を三つも奪(と)ったということは、世俗にまみれるということでもある。
 時をかければ、一部の兵たちの志は腐っていくだろう。