灰色の北壁

真保裕一講談社文庫。表題作を筆頭に3篇ともよくできている。ただ、どの作品にも、主人公の動機のひとつとしてかならず、ある女性のために、というのが出てくるのが気になる。世界最高峰の壁に挑んでいるときに、女性も何もないだろうと思うのだ。あるのは壁と自分だけ、ひょっとすると自分すら意識しないのかもしれない。現実はそうでもないのかな……。プロの登山家に訊いてみたい。