霜の降りる前に

ヘニング・マンケル、創元推理文庫。何年あいだがあこうと、すっと入っていける。昨年亡くなったのが本当に残念。
この作家の美点のひとつは、細部の作りこみだろう。たとえば、クラシック音楽をポップスにするのではなく、ポップスをクラシックに作り直している女性作曲家や、パブで飲んでいたときに隣の男にグラスを倒されたが、その男は謝らなかったというヴァランダーの父親の話。極めつきはエピローグのリンダが働きはじめた逸話。あとは話の筋がせせこましくなくて、スケールが大きい。
あとがきを読むと、これはリンダが主役の番外篇という位置づけで、ヴァランダーものはあと2作あるらしい。早く読みたい。