モーリス

まず原作とちがうのは、モーリスの造型。原作では黒髪で、もっとたくましい。dullという表現も何度か使われる。クライヴに比べて頭は悪いが体力はある(ラグビー、ボクシング)という役柄。
また、映画ではクライヴのギリシャ旅行のまえにリズリーが逮捕され、有罪となる。その事件がクライヴの決断に影響を及ぼしたと仄めかされるが、原作ではクライヴの「自然な変化」(つき添いの看護婦に興味を持ったことから始まる)とされる。まあどちらかと言えば、この道の師匠であるリズリーが野に放たれているほうがいいかな(ポーの一族エドガー的に)。
映画では、大英博物館に行くまえにアレックがモーリスの職場に立ち寄るが、原作にこのシーンはない。映画のギリシャ旅行中、クライヴはモーリスにいっさい返事を出さないけれど、原作では、女が好きになったという短い返事を出し、帰国後それをモーリスに説明して喧嘩になる。映画では、最後にクライヴに状況を伝えたあとボートハウスのアレックのところに行くが、原作では順序が逆。などなど、細かい点でちがいはあります。