ハワーズ・エンド

E・M・フォースター、河出書房新社。裕福な家族同士のつき合いと、そこに起きる事件の数々を淡々と描写、という感じかと思いきや、意外にストーリーは起伏に富んでいる。え、この人がというような人も死んだりして。しかし、なんといっても、ハワーズ・エンドという家を慈しむように書いているのが印象的(マーガレットが話だけに聞いていた家を実際に訪ねる場面とか、マーガレットとヘレンの姉妹がヘンリーの反対を押し切ってそこに一泊することにした場面とか)。
しかし、ゲイにしろ、不倫+私生児にしろ、フォースターの扱ったテーマは時代柄、ストレートに書くのがむずかしいものばかりである。作者が現代に生きていたらどんなふうに書いたかということに非常に興味がある。