遁走状態

ブライアン・エヴンソン、新潮社。最初はついていけなかったが、「追われて」で歯車がカチッと合った。「さまよう」や表題作の「遁走状態」や「裁定者」など見事。「私/他人、生/死、の境界線はむろん、現実/妄想、現在/過去、第一の他人/第二の他人等々の境界線も等しく曖昧にする」という柴田さんの解説に納得した。また「アルフォンス・カイラーズ」に見られるように、輪廻にこだわる作者でもある。