自堕落な凶器

A・S・ウィンター、新潮文庫。三つのパスティーシュの書き分けは見事だが、ひとつの物語として見たときに、この方式をとる必要があったのか。中篇をひとつずつ愉しみ、気づくと連作だった、ぐらいの位置づけ? しかし、いちばん面白かったのは形式的にはいちばん浮いているチャンドラー篇で、やたらと大げさな比喩など、原文もさぞ似ているのだろうなとにやにやしながら読みました。