てんやわんや

獅子文六全集・第四巻。「私の主人は私である。私は私の生活を生きねばならない」と言いながら、周囲の人々に惑わされて右往左往する犬丸順吉。微笑ましい南伊予の人々や風物もさることながら、土佐との境の黒霧山にあるという、檜扇(ひおぎ)の里が印象に残った。筒井康隆の「熊の木本線」を思い出す。