アブサロム、アブサロム!

フォークナー、河出書房新社。架空の地ヨクナパトーファ郡の物語を、気が遠くなるほどの細密さでつむいでいったフォークナー。何よりその執着に惹かれる。原文はル・カレよりむずかしいにちがいない。

「それじゃ、きみが我慢ならないのは、黒い血がまじっていることで、近親相姦じゃないんだね?」

ボンの台詞にまた南部の暗い深淵を見る。池澤氏の解説が秀逸。