2009-01-01から1年間の記事一覧

ラ・ボエーム

最近はフィギュアスケートの影響で「ネスンドルマ」ばかりですが、プッチーニといえばやはり「ラ・ボエーム」でしょう。とりわけ第1幕。映画「月の輝く夜に」で効果的に使われていて、思えばそれがオペラを聴きはじめたきっかけでした。メロディメーカーの…

Tel Aviv, Israel

もうすっかり様変わりしているだろうが、しゃれた寿司バーのある通りや、夜ニューエイジふうの若者が焚き火に集う長い砂浜、真っ青な海の岸壁に建つレストランなど、予想をはるかに超えて粋な街だった。いまや通りはつねにテロの危険にさらされているのだろ…

狼のゲーム

ブレント・ゲルフィ、ランダムハウス講談社。これは傑作。人物造型が光る。マフィアの巨魁マクシムも印象的だが、なんといっても白髪の守護天使ヴァーリャ。たとえば、第3章。「角を曲がると、そこにヴァーリャが、しなやかなわたしの天使がいる。・・彼女…

シフのベートーヴェン

ピアノソナタ全8集のうち、たまたま手に入った3、6、7、8集を聴く。シフというと個人的にはバッハでお世話になったけれど、このベートーヴェンもすばらしい。ひと言で評するなら、clarity。またはintimacy。「熱情」第3楽章のゆったりめのテンポと苛烈…

愚者が出てくる、城寨が見える

マンシェット、光文社。大胆な場面の省略(飛行機に乗ったと思ったらもう車)、すばやい視点の切り替え(モールの塔に迫るアルトグら)、ひねくれたユーモア(兄貴じゃない、姉さんじゃない、とか、最終章とか)。しかし、それより何より圧倒的で過剰な暴力…

香港

料理はすばらしく美味で、夜景ももちろん美しく、カラオケも愉しく、やたら豪華なサウナにも驚いたけれど、忘れられないのは、フェリーで1時間(30分?)ほどかけて別の島に渡り、知人の知人であるオーストラリア人を訪ねたときのこと。屋上から見た海の…

ショパンのピアノ協奏曲

もはや大相撲を支えているのは外国人力士だし、柔道も外国勢が強い。自国発のものでも自国民が秀でているとはかぎらない。だが、ショパンと同じポーランド人のツィマーマンが、ただこのためにオケを編成し、録音したこの協奏曲はすごい。曲の解釈やアンサン…

ジョーカー・ゲーム

柳広司、角川書店。スパイものということで濃厚な人間ドラマを期待していたところ、パズラー要素が大きかったのは肩すかしでしたが、世評どおり完成度はきわめて高いし、シリーズの続きも読んでみたい。「人間」が描かれていた点で「XX」が私的ベスト。い…

New Orleans, USA

ニューオーリンズを訪れたのは春。街路の新緑がまぶしいほどだった。どこへ行くのかもわからない路線バスに乗って途中でおり、小さなレコード屋でブラームスの五重奏のCDを買った。別の店で買った薄緑のポロシャツはいまも着ている。ボストンの牡蠣は小ぶ…

ブラームスの間奏曲

昔いちばん好きなピアノ曲は、ラヴェルの「クープランの墓」だった。サンソン・フランソワ。いまいちばん好きなのは、ブラームスのOp. 118で、墓に持っていきたいCDはまだない。グールドはあくが強い感じがするし、アファナシェフも何かひとつ足りない(あ…