愚者が出てくる、城寨が見える

マンシェット、光文社。大胆な場面の省略(飛行機に乗ったと思ったらもう車)、すばやい視点の切り替え(モールの塔に迫るアルトグら)、ひねくれたユーモア(兄貴じゃない、姉さんじゃない、とか、最終章とか)。しかし、それより何より圧倒的で過剰な暴力描写。スーパーの放火から先は超クール。しびれました。なるほどこれがセリ・ノワールですか。

ただ、ジュリーを精神病者に設定する必要があったのかという疑問がなくはない。すべては暴力と破壊のためか、それとも私が根本的なところをつかみそこねているのか。