母の記憶に

ケン・リュウ早川書房。昨年の話題をさらった『紙の動物園』より上出来なのではないか。とくに最初の2篇、『烏蘇里(ウスリー)羆』と『草を結びて環を銜えん』がすばらしい。後者はほとんどノワール小説。ほかにも『訴訟師と猿の王』や『万味調和――軍神関羽アメリカでの物語』など、中国がらみの作品が際立っている。ショートショートの表題作も印象に残るし、『レギュラー』もSF風味の上質なミステリー(ハードボイルド)。