ケルアック、河出書房新社。正直なところ、前半はまったくつまらなかった。乱暴な印象を述べれば、こそ泥たちが薬やって移動して騒いでるだけ。ところが、第3部から物語は別次元に入る。あいかわらず移動「依存症」なのだが、サルとディーンの「ふたりのなかで、なにかがカチリと鳴った」ところから、がぜん躁状態のレベルが上がる。愛なのでしょうな。サンフランシスコがキプロス島に変わった瞬間。
第4部のメキシコ行きもすばらしい。
「アメリカはぼくらの後ろにあって、人生について、路上(ロード)の人生についてディーンとぼくがいままで学んだことはぜんぶ、そっちにあった」
「世界だよ! 道があるかぎり、まっすぐ南アメリカまで行ける。すごいよな! たまんねえよ! すごすぎる!」
グレゴリアのダンスホール兼娼館での狂騒は、特筆に値します。