ブラッド・メリディアン

コーマック・マッカーシー早川書房。宇宙的に美しい荒野のなかを進んでいくインディアン討伐隊。凄惨な殺人の連続。的確な比喩——たとえばさまざまな月。無毛の巨人判事の圧倒的な存在感——「最後に本物が残った」。隊長グラントンが殺されるユマ族の襲撃から物語の雰囲気はがらっと変わる。判事が全裸で傘を差し、精神薄弱者と砂漠を歩いてくる場面は寺山修司の映像のよう。エピローグの意味はよくわからない。